『崖の上のポニョ』雑感

| コメント(0) | トラックバック(0)

一時の宮崎駿熱も冷め、いつでもいいやと思っていた『ポニョ』を、公開早々見に行ってしまった。
腐っても鯛。期待せずにはいられない。

で、早速結論を言うと、なんとも不思議な映画だった。
入り込めないというか、夢中に慣れないというか。
宮崎アニメを観て初めて頭に「?」が浮かんだ作品。

細やかな生活アニメーション。
ルパン、コナンを彷彿とさせるアクションシーン。
ラピュタに代表されるボーイミーツガールの主題。
どれをとっても宮崎アニメ。
部分部分はあきらかに宮崎アニメ。

じゃあ、何が今まで違うかと言うと、世界観とドラマだと思う。
一言でいうなら『ポニョ』は絵本のような映画だった。

『ポニョ』を異世界遭遇系と捉えると、『トトロ』や『千と千尋の神隠し』の類型だと言える。
『ポニョ』が他作品と違うのは、現実と異世界の境界が曖昧な点だろう。
『トトロ』では、しっかりと現実世界が描かれている。
トトロやマックロクロスケを見られるのも子供だけ。
ネコバスも大人視点だと、突風として表現されている。
『神隠し』では明確に異世界の扉(モルタル作りの建物)が用意されていた。
それが『ポニョ』では、最初からフジモトが登場。
あり得ない津波を不思議に思わないリサ。
物語中盤、街が海に沈んでもノンビリと船で漂っている夫婦。
何が起きても不思議ではない世界。
つまり僕らにとっては、何が起きても驚かない世界だった。

ドラマとは葛藤。
『ポニョ』はどのキャラもみんな、思いがストレートで葛藤がない。
迷いなく、前に突き進む。
また、乗り越えるべき障害もない。
宗介の周りは味方ばかり。
物語が僕らの中をすんなりと通り抜ける感覚は、多分、この葛藤の薄さじゃあないだろうか。

ただ、これは大人の意見。
子供はどう受け止めるのだろう。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.hataken.jp/mt/mt-tb.cgi/50

コメントする

最近のブログ記事

着地点
大学時代のメモ第4弾。 以下、メモ。 保…
発酵しないヨーグルト(乳酸菌をいれよう)
大学時代のメモ第3弾。 以下、メモ。  …
「王様」
大学の頃のメモ第2弾。 以下、メモ。  …