2008年7月アーカイブ

一時の宮崎駿熱も冷め、いつでもいいやと思っていた『ポニョ』を、公開早々見に行ってしまった。
腐っても鯛。期待せずにはいられない。

で、早速結論を言うと、なんとも不思議な映画だった。
入り込めないというか、夢中に慣れないというか。
宮崎アニメを観て初めて頭に「?」が浮かんだ作品。

細やかな生活アニメーション。
ルパン、コナンを彷彿とさせるアクションシーン。
ラピュタに代表されるボーイミーツガールの主題。
どれをとっても宮崎アニメ。
部分部分はあきらかに宮崎アニメ。

じゃあ、何が今まで違うかと言うと、世界観とドラマだと思う。
一言でいうなら『ポニョ』は絵本のような映画だった。

『ポニョ』を異世界遭遇系と捉えると、『トトロ』や『千と千尋の神隠し』の類型だと言える。
『ポニョ』が他作品と違うのは、現実と異世界の境界が曖昧な点だろう。
『トトロ』では、しっかりと現実世界が描かれている。
トトロやマックロクロスケを見られるのも子供だけ。
ネコバスも大人視点だと、突風として表現されている。
『神隠し』では明確に異世界の扉(モルタル作りの建物)が用意されていた。
それが『ポニョ』では、最初からフジモトが登場。
あり得ない津波を不思議に思わないリサ。
物語中盤、街が海に沈んでもノンビリと船で漂っている夫婦。
何が起きても不思議ではない世界。
つまり僕らにとっては、何が起きても驚かない世界だった。

ドラマとは葛藤。
『ポニョ』はどのキャラもみんな、思いがストレートで葛藤がない。
迷いなく、前に突き進む。
また、乗り越えるべき障害もない。
宗介の周りは味方ばかり。
物語が僕らの中をすんなりと通り抜ける感覚は、多分、この葛藤の薄さじゃあないだろうか。

ただ、これは大人の意見。
子供はどう受け止めるのだろう。

タグクラウド

OpenID対応しています OpenIDについて

ads